2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小野美由紀 「傷口から人生」

「マオ・レゾルビーダ」ブラジルで、「未解決の人間」という意味。サンティアゴ・デ・コンポステーラへの旅路で、著者が教えてもらった言葉である。自分の家族、人生の悩みを解決していない人間を指すという。本書の全体を、この言葉が表していると思った。…

小島剛一 「トルコのもう一つの顔」

昨日、クルド人の祭のネブロスに行ってきて、自分がこの地域について何も知らないことを痛感した。 そこで、以前から読みたかった本である、トルコの少数民族について書かれた「トルコのもう一つの顔」を早速読んだのだった。 著者の小島剛一は言語学者で、…

クルド人の祭、ネブロスを見に蕨に行ってきた

埼玉県蕨市は日本一面積の狭い市として有名だが、クルド人が集まっていることでも一部で有名である。 トルコやイラン、イラク、シリアにまたがり住むクルド人は、それぞれの国で迫害され、日本にも少なくない人々が逃れてきた。なかでも東京に至近で家賃の安…

漫画のキャッチーな台詞の罪

「質問に質問で答える」と、ときにジョジョの奇妙な冒険の台詞を引用して煙に巻かれることがある。煙に巻くというより、ようするに詭弁のガイドラインにあるような、論点をずらしはぐらかす行為にほかならないのだが、私はこれが釈然としないし、するべきで…

百円ローソンのプリン

私の人生は常に百円ローソンとともにあった。 いや、昔はショップ99だったりもしたのだが、100円で買える菓子パンは、小腹がすいたときの友である。 なぜ百円ローソンが素晴らしいか。 それは、メロンパンが一袋に2つ入っているからではない。 その本質はプ…

「文豪」という言葉

文豪と言われて、誰を思い浮かべるだろうか? 私は、真っ先に森鴎外が浮かんだ。 トルストイ、ドストエフスキー。 スタンダールはちょっと違う気がする。 夏目漱石は、文豪と呼んでも問題無い気もするが、自分としてはその枕詞に多少違和感がある。 この、文…

AKIRA一気読み

うちの母は芸術家崩れだった。 70~80年代に青春を過ごしたその人は、まさに大友克洋の洗礼を受けた世代だった。 その子供である自分は、幼少の頃から、「AKIRAはすごい」「AKIRAには感銘を受けた」と言われて育った。 (もしかすると、それは映画版のことだ…

堀田善衞 「情熱の行方 スペインに在りて」

堀田善衞という名前は以前から知っていたが、その著作を読んだのは最近になってからで、その本は「インドで考えたこと」だった。 「インド~」ではアジアの中にある異質な存在である日本、極東の辺境である日本に気付くことができたが、同じ作者の著作で次に…