銀座ニコン 古橋宏之 / 資生堂 飯島桃代

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移動の合間、銀座で二つの展覧会を見てきた。

銀座ニコンサロン

水を呼ぶ 古橋宏之写真展

多摩川にて撮影したという写真展。
河川敷の藪を撮る。

藪を撮るというのは意味付けが伴わないと空虚になりがちだが、ステートメントを読む限り作家の世界観にうまく落とし込めているように思えた。
4x5のカメラで銀塩で、という技法のもたらすクオリティと物質感が、そこに更なる裏付けをしていた。

しかし、藪の写真というのは、単に藪は美しい(銀粒子によるならばなおさら)というだけでも充分なのではないか。

資生堂ギャラリー

飯島桃代展 Home Bittersweet Home

若手作家によるインスタレーション
古い食器を用い、片方は樹脂で固め、もう一方は水と光で演出する。

資生堂という場の演出もあいまって、まず単純に空間として静謐で美しい。
とくに後者、暗い中に浮かび上がるうつわには触れられないような、眺めていたいようなあたたかさがある。

ステートメントを読むと、作家は家族について「水圧を受け止める」「やすらぎの閉塞感」という言葉を用いている。
それでいて、家族というものについてはあたたかい存在と捉えているように読めた。
しかし私はそれがわからなかった。作品こそ静謐だが、その態度はあっけらかんとしているのではないかと思ったのだ。

だがそこで、タイトルに思い至る。
Bittersweetとあった。
おそらく作者は、家族のBitterを知ったうえでその先にあるあたたかさを描こうとしたのだ。