山本譲司 「獄窓記」
ふと、本棚にあった本書を手に取ったら、二時間ほどで一気に読んでしまった。
賞を取り、ドラマ化もされた。
初めて読んだが、本書の影響で累犯障害者などの問題がそれなりに知られるようになった現在、先に予備知識を得ていたため、それを後追いするものになってしまった。
しかしこれがセンセーショナルであったことを想像するのは難しくない。
獄中を描いた作品ということで、「刑務所の中」と比較して読んでいた。
「刑務所の中」は絵柄のためもあって、牧歌的にさえ見えるものだった。映画版もそうだ。
だが本書の刑務官の言葉遣いや、獄中で頻発するケンカもまたリアルなのだろう。作品とするときに着目する場所が異なっただけだ。
弱い者のほうが、近くで細やかに見える気がするのかもしれない。
- 作者: 山本譲司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01/29
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (37件) を見る