遠藤周作 『深い河』
完全に読書メモというか覚え書きの投稿ですが。
遠藤周作の『深い河』を読んだ。
他には以前『沈黙』を読んだだけで、そのときは単に歴史小説のように読んでいた気がする。
遠藤がカトリック作家というのは予備知識として知っていても、信仰とか神とか大きいものに実感がわかず、ただ単に、そういう出来事がかつてあった、というだけの感想だった。
もちろん今でも、自分がそういうものを理解しているとは到底いえない。
ただ、宗教とか信仰について最近自分が思っていることと似たことを、『深い河』でも描写がされていたので、物語を通じ、その、うっすらと思ったことが少しだけ進んだ気がする。
私は宗教や信仰は、「自分を客観視するためのツール」だと思っている。
そんな発言を冒涜と感じる人々も多いと思う。
ただ、未も蓋もない言い方なら「ツール」となってしまうが、手助けしてくれるものと認識している者も、また少なくないはずだ。
本書の登場人物である大津は、ヨーロッパ的、キリスト教的価値観と日本人、アジアの人間の汎神論的価値観で揺れ動いていた。
自分もまた、そのような思考に近いのだろう。