戸田ツトム 『陰影論』を読んだ(否定的に。)
2012年、青土社刊の一冊。
デザイン論というかエッセイなのだが……。
内容は一貫しているし、文章としてもよいが、自分には極端に合わなかった。
劣等感からの感想かもしれないが、「できすぎる人」の言葉にしか聞こえないのだ。
この世代の人全般に、最近私は反感を覚えがちである。
80年代的な、無垢な人間賛歌のようなものが一瞬でも見えると、アレルギー反応が起こるようだ。
特に反発を覚えたのは都市や空間についての文章で、元来あったものを塗り潰すように開発することなどを批判的に見ていることについてだ。
人がそこにいるのか、ということについて。
私としては単に、それは開発された後の風景にあなたが人を見出すことができないだけではないか、と思ってしまう。
あなたが違う場所に行ってしまっただけだ。
Amazonレビューを見ると衒学的と評されていた。
衒学的、そうかもしれない。私は衒学を否定するようになりつつある。