「冷静と情熱のあいだ」を読んだ

もしかすると、もっと早く、大学にいたころくらいに読むべき小説だったかもしれない、自分はこの恋愛小説を読むには年を取ってしまったのかもしれないが、辻仁成江國香織の「冷静と情熱のあいだ」を読み終えた。
大まかな筋は見聞きしていたのだが、実際に読むことはこれまでなかった。
とても読みやすく、一冊一時間半ほどで一気に読んでしまった。

1999年作品。
辻仁成が男、江國香織が女の側の同じ時間を並行して描いている。
思い出の中の人、想像の中の人との再会は美しい。ベストセラーなのであらすじは知られているかもしれないが、ラストは結ばれると信じたい。

恋愛小説を普段読まない。
小説ではないが去年、ジブリ風立ちぬを見て恋の美しさにひたったくらいだろう。
だが、二人の人間の感情と愛情がパズルのようにかみ合うのを見て涙腺が緩んでしまった。本当に(フィクションでも)恋愛は美しいと思う。

作中のディテールのひとつひとつに興味を覚えた。
男性は絵画の修復を職業としていた。そして芸術家の家系であること。
実際の芸術家は、フィクションのように美しくない。でも、作家ではなかったとしても、美術に携わることへの魅力は深く分かるつもりだ。だからこそこの人物設定に、あれっと思うところがあったのだろう。
女性サイドでの、ともに暮らす男性。日本人と外国人の違い。
イタリアという舞台。
女性の働く店。

若くして本作を読んだら、誰しもがそこに描かれたような美しい恋愛に憧れるのだろう。
だからこそ、この二冊を読んで、なにか分かったような気がしたのだ。

もしかしたら本当に、自分もこういう恋愛に憧れるのかもしれない。

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

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冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

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