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女性の声に憧れていた頃

ゼロ年代回想 考えたこと 雑記

最近やさぐれていた。

そんな中で酒が飲みたくなり、地元のオフ会というものに参加してみたことがあった。

 

実家近くの飲み屋で男ばかり三人で飲み、その後カラオケに行くことになった。

ところがカラオケ館に入ったところで焦燥してしまった。

それは、歌う曲がないということである。

 

相手は同年代だったのでGLAYラルクなどの曲でもメジャーなものを歌ってしのいだが、すぐに貯金を使い果たしてしまった。

周りは自分の知らない、ロックかメタルかビジュアル系かわからない曲をノリノリで歌っている。

 

そういえば、大学生の頃にもカラオケに行くと困っていたなぁ、と思い出しつつ、苦し紛れに入れたのは、懐かしのGod knows...だった。

 


【Kadokawa公認AMV】 God knows... ''The Melancholy of ...

 

過去の記事にも書いたが、涼宮ハルヒの直撃世代だった。

アニソンという時点でアウトだが、懐かしの曲カテゴリに入りつつあるので微妙にセーフかと思ったのだ。

 

*     *     *

 

だが場はしらけてしまった。

アニソンだからしらけたのではないと思う。

 

問題は自分が、男性なのに元曲キーで歌ったということだったのだと思う。

 

その後に、他の一人がマクロスFよりライオンを入れた。

そして私にランカパートを歌えとマイクを渡してきたのだが、それも元曲キーで歌ったら、またしても微妙な雰囲気になってしまった。

 

どうやら、女性が歌う曲を、いい年をした男が元曲と同じ高い声で歌うのはドン引きされる行為らしいのだった。

 

思い起こせば、女性ボーカルの曲を、その通りに歌いたいとずっと思っていた。

サークル同期とのカラオケでアニソンを歌っていた大学生の頃だけでなく、子供の頃もそうだったと思う。

 

*     *     *

 

小学生の頃、声変わりを恐れていた。

何が嫌だったかというと、女性ボーカルの曲が歌えなくなるということである。

小学生の頃、J-POPのヒーローはSPEEDだった。White LoveMy Graduationといった絶頂期が高学年と被っていた。

その他の歌手の曲にしても、女性ボーカルのもののほうが趣味に対してしっくり来ていた。

 

合唱曲でソプラノが歌えなくなるのも嫌だった。

小中学生が歌う合唱曲では、メインメロディーは大体においてソプラノである。

メロディーを自分が担当できなくなることが不満だった。

 

それでも当然声変わりは来るわけで、合唱は男声部になった。しかし男としては今でも声は高い方である。合唱のときは男声でも常に高音部だった。

 

*     *     *

 

問題はカラオケだった。

高校生くらいでは、周りの流行に合わせて青春パンクを覚えたりしてみたが、大学生になると、運動サークルではあったが周囲がアニソンばかり歌うのに流され、自分もそうなってしまった。

 

そして、高い声で歌う快感もあって、女声と同じキーで歌うことに命を懸けはじめてしまったのだ。

 

実際、God knowsくらい歌いなれた曲ならば、転調も含めて元のキーで歌うことができるようになった。

だが連続して高音を出し続けると喉はすぐに限界になってしまい、カラオケでは長く保っても一時間、というくらいだった。

 

*     *

 

高音で歌うのが自分の中で一段落したのは、サークルの先輩(男性)がニコニコ動画に「歌ってみた」を投稿しているのを知った辺りだった。

その先輩はアニソンとメタルを投稿していたが、自分には出せない声をいとも簡単に用い、単に女性のキーであるだけでなく、一応音楽として、人に聞かせられるものを歌っていたのだ。

その先輩とカラオケに行ったことも当然あるが、自分はハモリに徹していた。

 

もし自分が歌ってみた動画へ情熱を燃やしたりしていたら危険な領域に突入していたと思うので、今考えると潮時だったのだと思う。

また、あまりメタル系に食指が伸びなかったのも原因だろう。

(その後自分は、大瀧詠一だのビーチボーイズだの、そっち方面に行ってしまった)

 

*     *     *

 

なぜ女性ボーカルの曲に惹かれるのか明確に答えることは難しいが、高い声で歌うことが、自分にとって快感なのは確かなことだ。

もともと自分は、男性としても高いほうの声を持っている。

今となってはキンキンするだけの落ち着かない声を引け目に感じることもあるが、当時は、God knowsを元キーで歌えることにありがたみを感じていた。

 

おそらく内面に女性に憧れる部分もあるのだろうが、感性の根っこの部分が極度に男性なので、高音に憧れたのは過去の思い出の中にだけ残るのだろう。