原田知世の時をかける少女

少し前に90年代くらいの原田知世のCDを聞いていたことがあった。 

彼女が昔から熱心なファンを持つことは知っていた。 

I could be free

I could be free

 

 

しかし時をかける少女を見たことはなかったので、レンタル割引のついでに借りてきた。

 

予備知識は尾道で撮影されたということだけ。

細田守のアニメ版は見たことがあった。

 

最も特徴的だったのは、原田知世のキャラクターに色がないということだった。

少女、女の子というキャラクターであっても、それ以上の脚色がまるで感じられない。

作中の行動意図が、まるで存在しないのだ。

原田知世がかわいい、という彼女を売り出す意図からすれば、正しい脚本なのだろう。

今なお原田知世という名前がかもしだす、透明や白といったイメージは、この主演作の時点で見事に成功し、受け継がれている。

女優個人について考えるならば、それは大きな個性だ。だがひとつの映画作品として捉えると、消化不良気味に感じてしまう。

尾道の映像美が見所として取り上げられるのも、だからこそなのだろう。

 

映像については、もう30年も前の作品だというのに、絵の作り方、画面の空気感に同時代の匂いを強く感じた。

私が写真をやっていたという理由もあるが、途中のスチル駒撮りの画はまるで、大御所写真家の写真集のようで、見慣れたものなのだった。

だからこそ、いまと連続していると思ったのだ。

(ただしビデオ合成は除く)

 

学校の描写に懐かしさを感じたということもあったが、本作にそんな同時代性を見いだすのは、私くらいの世代が最後なのだろう。

一定の世代が昭和30年代に郷愁を覚えるように、80年代という遠くなりつつある過去にノスタルジーを感じさせられる作品だった。

 

時をかける少女  ブルーレイ [Blu-ray]

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