原田知世の時をかける少女
少し前に90年代くらいの原田知世のCDを聞いていたことがあった。
彼女が昔から熱心なファンを持つことは知っていた。
- アーティスト: 原田知世,トーレ・ヨハンソン
- 出版社/メーカー: フォーライフ ミュージックエンタテイメント
- 発売日: 1997/02/21
- メディア: CD
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しかし時をかける少女を見たことはなかったので、レンタル割引のついでに借りてきた。
予備知識は尾道で撮影されたということだけ。
細田守のアニメ版は見たことがあった。
最も特徴的だったのは、原田知世のキャラクターに色がないということだった。
少女、女の子というキャラクターであっても、それ以上の脚色がまるで感じられない。
作中の行動意図が、まるで存在しないのだ。
原田知世がかわいい、という彼女を売り出す意図からすれば、正しい脚本なのだろう。
今なお原田知世という名前がかもしだす、透明や白といったイメージは、この主演作の時点で見事に成功し、受け継がれている。
女優個人について考えるならば、それは大きな個性だ。だがひとつの映画作品として捉えると、消化不良気味に感じてしまう。
尾道の映像美が見所として取り上げられるのも、だからこそなのだろう。
映像については、もう30年も前の作品だというのに、絵の作り方、画面の空気感に同時代の匂いを強く感じた。
私が写真をやっていたという理由もあるが、途中のスチル駒撮りの画はまるで、大御所写真家の写真集のようで、見慣れたものなのだった。
だからこそ、いまと連続していると思ったのだ。
(ただしビデオ合成は除く)
学校の描写に懐かしさを感じたということもあったが、本作にそんな同時代性を見いだすのは、私くらいの世代が最後なのだろう。
一定の世代が昭和30年代に郷愁を覚えるように、80年代という遠くなりつつある過去にノスタルジーを感じさせられる作品だった。