作品感想

涼宮ハルヒと「オカルト」の終わり

2006年にアニメになった「涼宮ハルヒの憂鬱」は、高校生~大学生の間で確かにブームになっていた。いつの間にか歴史上の作品になりつつあることが信じられないのだが、確かに時代を象徴する作品だったことに間違いはない。 その冒頭で、作品を象徴する台詞が…

堀田善衛 『インドで考えたこと』 ――日本人の50年

『インドで考えたこと』のハイライトは、やはり、ペルシャ語を文化を源流に持つ国の人々が、口々に詩を詠むシーンだろう。文学者たちが詩を詠み競うのだが、同じ「アジア人」であるはずの著者は輪に入ることができないのだ。 堀田善衛 『インドで考えたこと…

島田清次郎 『地上 地に潜むもの』 感想

風野春樹 『島田清次郎』の刊行がきっかけで、杉森久英 『天才と狂人の間』を読んでから二週間。 これを機に、島清の代表作である『地上 第一部 地に潜むもの』を読むことにした。 若くして精神病院で夭折した彼の作品は、既にパブリックドメインになってい…

杉森久英 「天才と狂人の間 島田清次郎の生涯」再読

杉森久英「天才と狂人の間 島田清次郎の生涯」。 天才と狂人の間―島田清次郎の生涯 (河出文庫) 作者: 杉森久英 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 1994/02 メディア: 文庫 購入: 1人 この商品を含むブログ (6件) を見る 本作は1962年の直木賞を受賞した…

国立近代美術館 「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」

今日は竹橋の国立近代美術館に行ってきた。 実は企画展は全くノーマークで、適当に400円ちょっとで常設を見て癒されようという意図だったのだが、むしろ企画のあまりの濃厚さに、へとへとになるまで美術館で過ごしてしまったのだった。 ヤゲオ財団コレクショ…

戸田ツトム 『陰影論』を読んだ(否定的に。)

2012年、青土社刊の一冊。 デザイン論というかエッセイなのだが……。 内容は一貫しているし、文章としてもよいが、自分には極端に合わなかった。 劣等感からの感想かもしれないが、「できすぎる人」の言葉にしか聞こえないのだ。 この世代の人全般に、最近私…

「現場マンガ」としてのプラネテス

10年ほどに流行った漫画「プラネテス」。 現在ヴィンランド・サガを連載している幸村誠の出世作である。 サンライズ制作でハイクオリティなアニメにもなった。 スペースデブリ(宇宙のごみ)という素材を巧みに料理したことで、00年代SFの傑作として名高い。…

ブックオフで写真雑誌を買ったらプリントが挟まっていた

ブックオフで2007年の雑誌『瞳PHOTOS』を買ったら、カバーの下にプリントが挟まっていたのに気付いた。 インクジェットプリントでインク切れになってしまったもののようだ。 雑誌の特集は「女性職業カメラマンの群像」だし、絵柄的に、マクロで花と虫ではあ…

西村賢太 『寒灯・腐泥の果実』

二ヶ月ほど前に「苦役列車」の映画版を見たことがあった。 劇中で描かれたものと近い労働が身近にあったので、憂鬱になりつつ共感もしていた。 ロジスティクスという文字は、いまでも深いトラウマである。 苦役列車への共感は、生きていくための金銭を得られ…

自由への渇望の傍観

映画「イージーライダー」を見た。 ニューシネマを見るのは初めてである。 ワイルドで行こうという曲くらいは知っていたが、あとは劇中で本物のドラッグを使っているという伝説くらいの知識しかない。 こういうのをロードムービーと言うのか、その語法は間違…

原田知世の時をかける少女

少し前に90年代くらいの原田知世のCDを聞いていたことがあった。 彼女が昔から熱心なファンを持つことは知っていた。 I could be free アーティスト: 原田知世,トーレ・ヨハンソン 出版社/メーカー: フォーライフ ミュージックエンタテイメント 発売日: 1997…